
我々犬から見ると猿猫の価値観は奇妙奇天烈摩訶不思議で理解に苦しむ部分がある。たとえ客観的な視座で解釈の幅を拡げようと心掛けても、それは主観の延長線上にある疑似的な客観性に過ぎない。しかし猿の視点に立てば犬の振る舞いにも奇妙さは見えるのだろう。視点が変われば視界が変わり、視野が広がれば、理解は知識へと変わる。だから僕は異論や反論を拒まない。それらは僕に視認できない世界の輪郭を見せてくれるのだから。

猿にも個性あるでの。

御託はいいから談義すッぞ。

反論受けなさいよ。

衆議院議員選挙は自民党118議席増の316議席で圧倒的勝利となりました。維新は2議席増で36議席。中道は123議席を減らし49議席。あとは割愛する。衆議院233議席あれば衆議院本会議を与党だけで法案可決出来ます。261議席以上なら全ての常任委員会で過半数の委員確保と委員長独占が可能となり、310議席で憲法改正の国会発議が出来ます。

何言ってるか分かんない。その過半数だけで法案可決出来ることとか常任委員会とか分かんない。あと310議席ってなんなのよ?

紋次郎先生、お願いします。

簡単に言うたら、話し合いも多数決も多数派がシナリオ書けるちゅうことや。

粗略粗野粗末粗暴にして粗忽なるご説明、貴殿に求めた我が粗相こそ真の粗。少し補足しますと、審議は世論や与党内調整に影響を与えますし多数決も必須の手続きですか、議席数が圧倒的なら最終決定権は多数派にあります。

あたしの質問に答えてないわよ。

法案や予算案や議案等はまず常任委員会で調査審議されることは御存知ですよね。

当然、御存知ないわよ。

本会議の前に常任委員会で審議されるんですよ。衆議院なら465人、参議院248人が話し合うのは運用面で非効率、構造的に非合理的。そのため予め常任委員会で専門的な審議が行われます。常任委員会は衆議院参議院それぞれ17の委員会があり、議員はひとつ以上の委員会に入ります。ここまで大丈夫でしょうか。

OK、理解追いついてる。大人数で話し合うより先に少数の委員会で話し合うのね。

大地を裂き、その裂け目から地底人が姿を現したなら、政府はどう動くべきでしょうか、紋次郎先生。

せやな、法案を閣議決定して衆議院議長に提出、ほいで本会議で上程して議長が所管常任委員会に付託か普通のルートやからな。最初に地底人の定義とか人権どないかせなあかんから法務委員会に民法とか刑法、あと出入国管理なんかの法の改正案出さなあかん。ほいで地底人が未知の病原体持っとるかも知れんから厚生労働委員会にも法案持ってかなあかんし、あとは外務委員会とか安全保障委員会も絡んでるで。出てくる時に大地裂いたんやったら地下鉄とか水道管ガス管道路の破損もあるやろうから予算案とか国土交通委員会にも法案付託なる思うで。

それ、地底人のたとえいるの?要は法案提出したら議長がそれぞれ担当する委員会に振り分けるってことよね?

大雑把に言えばそうですね。委員会で法案の説明、質疑、参考人からの意見聴取等を行い、討論を経て採決に至る。可決、否決、修正可決等の結果を本会議に報告。

否決しても本会議行くの?

最終的に決める権限は全議員にありますからね。教師が遠足の栞を配り、ある生徒が『バナナはおやつに入りますか』と質問する。教師は遠足実行委員会に任せる。委員会は調査、審議を始めた。バナナは草であり野菜だ、草の実は野菜だ。そしておやつの定義とは、小腹を満たす間食であり補食の意味があるため、弁当と同時刻にバナナを食せば野菜として扱い、間食として食すのならそれはおやつである。ではどうするか、事前にバナナの摂取時刻を申請しておくのか。そこで教師が業を煮やし、慣例に従いバナナはおやつに含めないと宣言した。渋々遠足実行委員ではバナナはおやつを否決した。しかしその報告を聞いた生徒達は納得出来ない。だから委員会の報告を踏まえて全校生徒で改めて多数決をする。そういう事だ。

そのちょいちょいぶっ込んでくる微妙な比喩なんやねん。

衆議院委員会から報告を受けて衆議院本会議で討論、採決が行われます。否決すればそこで終了。可決すれば参議院委員会に回され同じように本会議で採決。ここで否決されると衆議院本会議に戻され再び採決。三分の二以上の賛成で成立する。これが日本国憲法59条1項衆議院の再可決。つまり衆議院465議席のうち316議席を有する自民党は参議院で否決されても回り道して可決に辿り着ける。

サナちゃん委員長ポスト奪還したいって言ってたけど、委員長ポストって重要なの?

常任委員会の委員長は、委員会の議事整理権と秩序維持権を持つナリ。具体的には、会議の日時決定、開会・散会、発言許可や討論の終結決定、議事整理権に基づき会議の「生殺与奪」を握るナリ。開会や発言許可だけでなく、質疑を打ち切る「採決」の時期を操作し、あえて「先送り」や「棚上げ(継続審査)」で法案を事実上葬ることもできるゾウ。また、紛糾時に休憩を宣言して「審議中断」させるのは、過熱した議論を冷却する物理的な遮断機と同じだっちゃ。

緊急速報です。米国トランプ大統領が未確認飛行物体、地球外生命体、未確認空中現象などに関連する情報を公開するよう国防総省や関連省庁等に指示すると表明しました。

ここではこの駄犬が委員長ポストってとこやな。どやねん、この自由奔放な開会散開談義中断な独裁者。

いつか奪還してやるからね。

